【徹底解説】ミッドセンチュリー 家具の特徴
1945年、世界に未曾有の惨禍をもたらした第二次世界大戦が終結し、世界に平和が訪れます。 戦後、世界で家具デザインをリードしたのは、アメリカ、イタリア、スカンジ・・・
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1945年、世界に未曾有の惨禍をもたらした第二次世界大戦が終結し、世界に平和が訪れます。
戦後、世界で家具デザインをリードしたのは、アメリカ、イタリア、スカンジナビア(スウェーデン、ノールウェー、デンマーク)でした。
戦中からの木材をも含む物資不足とともに、資源不足を補う目的で開発された軍事的影響による技術革新もあり、シンプルながら暮らしを豊かに、穏やかに感じさせてくれる家具が数多く生まれてゆきます。
イギリスでは、第二次世界大戦の空襲により、新しい住居と家具の需要が高まりましたが、木材の不足は深刻な状態に。
1950年代からスカンジナビア諸国から家具が輸入されたのをきっかけに、多くの英国家具メーカーがスカンジナビア風の家具を作り始めたことで、ミッドセンチュリーモダンのスタイルが流行しました。ミッドセンチュリーとは「1世紀の真ん中」という意味で、1940年~1960年を中心にデザインされたインテリアのことを指します。
ここでは、『ミッドセンチュリー 』の家具デザインについてご紹介します。
アメリカのミッドセンチュリー
戦火を受けなかったアメリカは、豊富な資源に加え、第二次世界大戦の軍需産業により新しい素材加工の技術革新が進んだことで、家具製造業も大きく伸び、家具産業界の指導的立場となっていきました。
アメリカを代表するミッドセンチュリーのデザイナーは、チャールズ・イームズ(Charles Ormond Eames:1907年-1978年)やエーロ・サーリネン(Eero Saarinen:1910年-1961年)、ジョージ・ネルソン(George Nelson:1908年-1986年)が有名です。
特にイームズが世に送りだした作品は、世界中の多くのデザイナーに影響を与えました。イタリアのミッドセンチュリー
イタリアでは、ジオ・ポンティ(Gio Ponti:1891年-1979年)がトネリコ材を使用した小指1本でもてる椅子を発表しました。
“世界で一番軽い椅子”と呼ばれるこの作品の重さは、わずか1700グラム!!です。その他、ヴィコ・マジョストレッティ(vico magistretti:1920-2006)がプラスティック椅子を発表するなど、ミラノを中心に、素晴らしい家具が誕生しました。
スカンジナビアのミッドセンチュリー
スカンジナビア諸国は、気候的に日照時間が短いため、冬の寒い時期以外でも家の中で多く過ごします。
そのため、長時間過ごすための快適なデザイン、実用性、飽きのこないデザインが追及された家具が誕生しました。
また、システム化された工場で作られた家具ではなく、工程の中に手仕事を入れることにより、機械では出せない木の温もりを生かしたデザインも多く生まれました。スカンジナビア諸国の中でも、特にデンマークの家具が人気を博しました。
なかでも、デンマークのデザイナーで、北欧デザイン界の大巨匠と呼ばれるハンス・J・ウェグナー(Hans Jørgensen Wegner:1914年-2007年)は、生涯で500種類以上の椅子をデザインしました。
ハンス・J・ウェグナーの代表作”Yチェア”は、1949年の発表以来、世界中で愛され、世界で最も売れた椅子と言われています。ハンス・J・ウェグナーの他にもデンマーク出身のデザイナーとして、”イージーチェア No.45″などの代表作となる椅子をデザインしたフィン・ユール(Finn Juhl:1912年-1989年)、 “アリンコチェア”で有名なアルネ・ヤコブセン(Arne Emil Jacobsen:1902年-1971年)などが、多くの作品を誕生させました。
イギリスのミッドセンチュリー
イギリスでは、1950年代になり、スカンジナビア諸国で製造された家具が輸入され始めました。
しかし、輸入品のためとても高価なものでした。
そのため、多くの英国家具メーカーが、スカンジナビア風デザインの家具を作り始めたのです。英国家具メーカーが製作するスカンジナビア風の家具は、イギリスらしさも練りこみ、イギリス独自のミッドセンチュリーデザインへと発展していきました。
英国ミッドセンチュリー:「G-PLAN」ジープラン
G-PLAN(ジープラン)は、1898年創業の英国老舗家具メーカーE.Gomme(イー・ゴム)社が、北欧デザイン(スカンジナビアンスタイル)を取り入れ、それまでのイギリス家具にはなかったシンプルでスタイリッシュなデザインとして展開したブランドです。
20世紀の英国を代表する家具ブランドとして、ercol(アーコール)のライバル的存在でありました。
G-PLAN(ジープラン)の創業者 Ebenezer Gomme(エベニーザー・ゴム)とアーコールの創業者 Lucian R. Ercolani (ルシアン・アーコラーニ)は、実は親しい友人であり、仕事上の仲間でもあったそうです。G-PLANの「G」は、E.Gomme社のG「G」です。「PLAN」には「計画を立て進化していく家具」という意味が込められています。
時代を超えて愛され続けるG-PLAN(ジープラン)のシンプルなフォルムはさまざまなインテリアに取り入れることができます。ジープランは、時代と共に『ロゴ』が変化しています。
ロゴをみれば、製造年代が分かりますよ♪
ジープランの歴史、ロゴについての詳しいブログ記事はこちらをご覧ください。↓英国ミッドセンチュリー:「ERCOL」アーコール
「ERCOL」アーコールは、1920年にイタリア生まれのルシアン・アーコラーニ(Lucian Randolph Ercolani:1888–1976)が、ウィンザーチェアの産地でもあるハイ・ウィカムに、アーコール家具製造会社(Ercol Furniture Ltd.)を設立したのが始まりです。
ルシアン・アーコラーニは、比較的安価なエルム材を使い、生産性向上のために、木を水蒸気で蒸し弓のように曲げる「曲げ木」の技術を採用し、ウィンザーチェアを機械化により大量生産する体制を確立しました。
1963年には、スタッキングチェアがイギリス国内のスクールチェアとして採用されると、その後も人気のクエーカーチェアやゴールドスミスチェア、スタジオカウチなど次々と誕生させました。
シンプルで機能的、そしてタイムレスなデザインにこだわることで、創業から100年以上たった今でも、アーコールのデザインは、人気を博しています。
アーコール(ERCOL)は、耐久性のある品質、一生ものの家具を提供することに、重きを置いております。
そのため、ヴィンテージのアーコールも非常に価値のある家具、ビンテージ家具の代表格として絶大な人気を誇っています。アーコール社の代表作でもある「ゴールドスミスチェア」
ゴールドスミスチェアってどんなデザイン?
その誕生秘話からゴールドスミスの構造について等々、こちらのブログをご覧ください。↓アーコール社の名作「ドロップリーフテーブル(バタフライテーブル)」
ルシアン・アーコラーニ(Lucian Randolph Ercolani:1888–1976)が、1950年代後半にデザインしたテーブルです。
左右の天板に可変性がある非常に機能的なテーブルです。
「ドロップリーフテーブル(バタフライテーブル)」については、こちらのブログをご覧ください。↓英国ミッドセンチュリー:「NATHAN」ネイサン
英国ミッドセンチュリーといえば、ジープランとアーコールの2社が代表格ですが、スカンジナビアの影響を受けてスカンジナビア風デザインの家具製作を始めたメーカーは他にもあります。
その一つがネイサン(Nathan)です。ネイサンは、ロシア出身のバーネット・ネイサン(Barnet Nathan)によって1916年にロンドンに設立されました。
1954年には、ニューヨークで開催された展覧会でイギリスを代表するメーカーとして選ばれたほどです。
チーク材の家具を生産し、他社と差別化をはかるため、多くのアイテムを生み出し、人気となりました。英国ミッドセンチュリー:「Turnidge」ターニッジ
1933年にロンドンで設立された家具メーカー「Turnidge」ターニッジ。
チーク材を使用した本棚やディスプレイキャビネットなど、箱物家具に特化したメーカーです。
市場に出回った家具もそれほど多くなかったため、今では非常に希少なヴィンテージアイテムになっています。英国ミッドセンチュリー:「McIntosh」マッキントッシュ
「McIntosh」マッキントッシュは、1869年、アレキサンダー・ヘンリー・マッキントッシュ(Alexander Henry McIntosh)が、スコットランドの小さな町で創業したメーカーです。
1878年パリ万国博覧会、1879年シドニー博覧会に出展するなどし、市場を拡大していきました。
スタイリッシュなデザイン、品質の良さは、現在のイギリスでも非常に高く評価され、人気のあるメーカーです。ケントストアが取り扱うミッドセンチュリー家具
G-PLAN(ジープラン)センターテーブル
1960年代に製造されたセンターテーブルです。
天板はスモークガラスとタイルが組み合わさったデザインです。
チーク材の色目が、何とも温かく安らぎも与えてくれるテーブルです。
ジープランを代表する作品です。G-PLAN(ジープラン)ネストテーブル
大変お待たせしました!!
先日、英国より入荷しました大人気のネストテーブルです。
1960年代に製造されたものになります。
ネストテーブルは、3つのテーブルからなり、1つに重ねて収納することができます。
用途に合わせて使い分けることができる便利な小テーブルとなっています。★G-PLAN(ジープラン)のアイテムは他にも多数ご用意しております。
ぜひこちらをご覧くださいませ♡ERCOL(アーコール)のダイニングテーブル
1960年代に製造されたダイニングテーブルです。
シンプルなデザインながら存在感を放つ、アーコールならではの作品です。ERCOL(アーコール)のエックスバックチェア
エックスバックチェアチルターンと呼ばれるチェアでエックスバックチェアの他にもクロスバックと呼ばれることもあるチェアです。
X字型にクロスした背面に合わせて座面下の貫きもクロスしているのが特徴です。★ERCOL(アーコール)のアイテムは他にも多数ご用意しております。
ぜひこちらをご覧くださいませ♡NATHAN(ネイサン)のダイニングテーブル
1960年代に製造されたNATHAN(ネイサン)ダイニングテーブルです。
チーク材には天然の油分が含まれているので、水に強く、耐久性に優れ、腐りにくいのが特徴です。McIntosh(マッキントッシュ)のネストテーブル
1960年代に製造されたMcIntosh(マッキントッシュ)のネストテーブルです。
大テーブルは、天板が広がるので、より様々な用途で使用できます。
ネストテーブルとは大・中・小3個(もしくは4~5個)のテーブルが一つのセットになっているテーブルのことを言います。チェア6脚セット
1960年代に製造されたチェア6脚セットです。
座面、背面、アームの部分の緩やかに湾曲されたラインが、とても美しいチェアです。
座面は新しく張替えております。【徹底解説】アーツ・アンド・クラフツ様式 家具の特徴
18世紀中頃からヨーロッパ各地で進んだ産業革命。
19世紀に入ると技術革新は急激に発達し、生産基盤は農業社会から工業社会へと転換しました。
家具の生産においても、それまでの手仕事から機械化、分業化により量産品ができるようになりましたが、過去の様式の模倣が多かったり、装飾様式が統一されませんでした。
1880年代、このような機械生産と商業主義に反対し、生活の美と時代の様式を守ろうとする動きがでます。
ウィリアムモリスを中心に多数の芸術組織によって、『アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts Movement)』へと発展していきました。
『アーツ・アンド・クラフツ様式』家具デザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。【徹底解説】エドワーディアン様式 家具の特徴
63年間にわたり女王として君臨し、英国の黄金期を築いたヴィクトリア女王。
ヴィクトリア女王の跡を継いだのは、ヴィクトリア女王の長男”エドワード7世”です。
エドワード7世が、国王に即位した時の年齢は、御年59歳。
在位期間がわずか10年と短いですが、エドワード7世の在位期間(1901~1910年の間)に流行した家具のスタイルを『エドワーディアン様式(Edwardian)』と言います。
曲線的で華やかなデザインのヴィクトリア様式の家具に対し、エドワーディアン様式の家具は、スッキリとシンプルなデザインが多いのが特徴です。
『エドワーディアン様式』の家具のデザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。商品に関すること等、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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