【徹底解説】アーツ・アンド・クラフツ様式 家具の特徴
18世紀中頃からヨーロッパ各地で進んだ産業革命。19世紀に入ると技術革新は急激に発達し、生産基盤は農業社会から工業社会へと転換しました。 家具の生産においても、・・・
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18世紀中頃からヨーロッパ各地で進んだ産業革命。
19世紀に入ると技術革新は急激に発達し、生産基盤は農業社会から工業社会へと転換しました。家具の生産においても、それまでの手仕事から機械化、分業化により量産品ができるようになりましたが、過去の様式の模倣が多かったり、装飾様式が統一されませんでした。
1880年代、このような機械生産と商業主義に反対し、生活の美と時代の様式を守ろうとする動きがでます。
その中心人物がウィリアム・モリスでした。
ウィリアム・モリスは、産業革命により大量生産された粗悪な商品が広まっている状況を批判、中世の職人により生み出されていた”美しい手工芸の復興”、”労働者の日々の労働のうちにこそ美の喜びは生まれていかねばならない”とし、生活と芸術を統一することを主張しました。
そして、ウィリアムモリスに影響を受けた多数の芸術組織によって、『アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts Movement)』へと発展していきました。ウイリアムモリスとは
ウィリアム・モリス(William Morris 1834年-1896年)は英国の思想家であり、作家であり、詩人であり、工芸職人であり、そして何といっても、家具、室内装飾のデザイナーでありました。
彼の作品は近代デザイン史上に大きな影響を与え「モダンデザインの父」と称されています。
繊細で温もりを感じるテキスタイルデザインは、150年以上経った今でも世界中の人々に愛されています。ウイリアムモリスの生涯ついては、こちらのブログ記事をご覧ください。
アーツ・アンド・クラフツ様式 ~ ウィリアムモリスの家具
1860年頃、イギリスの南東部にあるサセックス(Sussex)の農家で使用されていた素朴な椅子を改良し、モリス商会で『サセックスチェア』として販売しました。
デザインしたのは、ウィリアムモリスなのか、モリスと共に”レッドハウス”を設計したフィリップ・スピークマン・ウェッブなのか諸説ありますが、サセックスチェアは、ケンブリッジ大学をはじめ多くの施設で使用されました。
またシリーズとして多くの家具メーカーがレプリカを作り販売するなど、人気を誇ったチェアです。アーツ・アンド・クラフツ様式 ~ チャールズ・ヴォイジーの家具
チャールズ・ヴォイジー(Charles Francis Annesley Voysey:1857–1941)は、建築家でありましたが家具デザイナーとしても、イギリスのデザイン界に大きな影響を及ぼしました。
チャールズ・ヴォイジーのデザインは、背もたれが垂直な線で作られた椅子など、形はシンプルです。
そして、チャールズ・ヴォイジーの最大の特徴は、木の本来の良さを生かすため、地肌のままの木材を使用して作られていることです。
また、扉などに取り付けられている錠前(じょうまえ:扉に仕込まれている鍵の差し込み口のこと)や丁番などの装飾は、非常に個性的で凝ったデザインのものが使用されています。アーツ・アンド・クラフツ様式 ~ エドワード・ゴッドウィンの家具
エドワード・ウィリアム・ゴドウィン (Edward William Godwin:1833–1886)は、1851年ごろから1900年にイギリスで発展した『アングロジャパニーズ・スタイル(Anglo-Japanese style)』の影響を大きく受けたデザイナーです。
※アングロジャパニーズ・スタイルとは、日本のデザインと文化に影響された新しい感覚の芸術スタイルのことをいいます。
ウィリアムモリスの民芸調の家具とは対照的で、日本の指物師の技法をとりいれた家具を作り出しました。
※指物師(さしものし)とは、釘などの接合金属を用いずに、木同士を組み合わせて家具類を作る職人のことをいいます。
エドワード・ゴッドウィンは、構造的にも大変優れた作品を生み出しました。
ケントストアが取り扱う アーツ&クラフツ様式の英国アンティーク家具
サセックスチェア
1890年代に製造された「サセックスチェア」です。
製造された年代からも、大変希少価値の高いチェアです。ケントストアが取り扱う モリス生地の英国アンティーク家具
ディスプレイキャビネット
1930年代に製造されたイギリスアンティークのディスプレイキャビネットです。
背板をウィリアム・モリス生地の『Willow Boughs ウィローボウ』で仕上げました。
『Willow Boughs ウィローボウ』は、モリスお気に入りのテムズ川岸に広がる柳を、自然主義的アプローチから見事なパターンに仕上げたデザインです。
ウイローボウは、1887年に壁紙として、後にプリント生地としても制作されました。
最も有名なデザインの一つであり、モリスの最高傑作ともいえる作品です。
ウィローボウはケルムスコット・マナーのジェインの寝室をはじめ、ゆかりの家々で見ることができます。デスクチェア
1930年代に製造された英国アンティークのデスクチェアです。
リクライニングでリラックスしてお座りいただけるデスクチェア。
回転はせず、固定でお座りいただくタイプです。
キャスターがついているため、デスクへの出し入れも容易に行えます。
座面はウィリアム・モリスのイチゴドロボウで張り替えております。
可愛らしい仕上げりですので、仕事場にちょっとした花を添えたい方や雰囲気を明るく、可愛らしくしたい方、お子さんの勉強デスクに合わせたコーディネートなどにおすすめです。
モリス好きさんに一押しの逸品…!スツール
英国アンティークのスツールです。
ウィリアムモリスのピンパネル(Pimpernel)の生地を使用しています。
ピンパネルは、チューリップの花とカールする葉がリズミカルに渦巻いており、その中にある小さなルリハコベ(ピンパネル)の花が効果的に作用しています。アイベックスチェア
1930年代に製造されたイギリスアンティーク家具のアイベックスチェアです。
座面は、2019年11月21日のNHK総合「世界はほしいモノにあふれてる」の番組内で紹介されたチェアと同じ「Strawberry Thief いちご泥棒(水色)」で張り替えました。
チェア本体は、ペイントは製造された当時のままの状態を敢えて残しています。ウィリアム・モリスの作品紹介:ウィローボウ
ウィリアム・モリスの代表的作品の一つで、モリスの作品の中で最高傑作といわれる「ウィローボウ(Willow Boughs)」。
イングランド南部にあるコッツウォルズ地方の村 “ケルムスコット”にあるマナーハウス「ケルムスコット・マナー」。
モリス一家の憩いの場であったまさに『地上の楽園』です。
モリスが提唱した「アーツ・アンド・クラフツ運動」の発想の原点となったマナーハウスです。
そのケルムスコット・マナーの近くを流れるテムズ川。
その岸辺に生い茂る柳の木の姿をデザインした作品が「ウィローボウ(Willow Boughs)」です。『ウィリアム・モリスの作品紹介:ウィローボウ』のブログ記事はこちらをご覧ください。
ウィリアム・モリスの作品紹介:いちご泥棒
ウィリアム・モリスの代表的作品といえば?
多くの人が、まず思い浮かべるのが「いちご泥棒(Strawberry Thief )」ではないでしょうか。『ウィリアム・モリスの作品紹介:いちご泥棒』のブログ記事はこちらをご覧ください。
【徹底解説】ミッドセンチュリー 家具の特徴
1945年、世界に未曾有の惨禍をもたらした第二次世界大戦が終結し、世界に平和が訪れます。
戦後、世界で家具デザインをリードしたのは、アメリカ、イタリア、スカンジナビア(スウェーデン、ノールウェー、デンマーク)でした。
では、イギリスのミッドセンチュリーの家具様式はどうだったのでしょうか。
『ミッドセンチュリー』の家具デザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。【徹底解説】ヴィクトリアン様式 家具の特徴
1837年、ヴィクトリアが18歳にしてハノーヴァー朝第6代女王に即位します。
その後63年間にもわたり、大英帝国の女王として、イギリスを世界の強国に成長させました。
ヴィクトリア女王の統治下(1837年~1901年)の建築物と家具のデザインを『ヴィクトリア(ヴィクトリアン)様式』といいます。
『ヴィクトリア様式』の家具デザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。商品に関すること等、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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