【徹底解説】クイーンアン様式 建築物と家具の特徴
イギリス王室の歴史の中でも、最初で最後といわれている夫婦での共同統治を行った、”ウィリアム3世”と妻の”メアリー2世”。ウィリアム3世とメアリー2世の間には子が・・・
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イギリス王室の歴史の中でも、最初で最後といわれている夫婦での共同統治を行った、”ウィリアム3世”と妻の”メアリー2世”。
ウィリアム3世とメアリー2世の間には子がいなかっため、メアリー2世の妹”アン”が王位を継ぎました。
アン女王の統治下におかれた時代の建築物と家具のデザインを『クイーンアン様式』といいます。ここでは、『クイーンアン様式』の建築物と家具のデザインについてご紹介します。
アン女王とは
1702年、ウィリアム3世死去すると、同年、アンが女王として即位しました。
1707年には、イングランドとスコットランドを合併し、グレートブリテン王国を誕生させる”合同法”を成立させます。
それにより、アンはグレートブリテン王国(Kingdom of Great Britain)の最初の女王となりました。
アンは、精力的に国務を務め、閣議に参加したり、有力な政治家と意見を交えるなど、イギリスを繁栄へと導いていきました。私生活では、ブランデー・ナン(Brandy Nan:ブランデーおばちゃん)とあだ名がつくほど、大のブランデー好きだったそうです。
アンは、子宝に恵まれなかったため、後継者がいませんでした。
そのため、血縁の遠いドイツの”ハノーヴァー家”がイギリス王室として王位に就きます。
これにより、スコットランド起源のステュアート王朝は、アン女王で終焉を迎えました。
このハノーヴァー朝は、脈々と続き、現在のイギリス王室”ウィンザー朝”の始祖とされています。クイーンアン様式 建築物の特徴
シンメトリー(左右対称)
まずは、先のウィリアム&メアリ様式を引き継ぎ、クイーンアン様式も、完璧なまでに左右対称シンメトリーのデザインであることが特徴です。
アン女王統治下のクイーンアン様式は、19世紀の末にリバイバルされアメリカで人気を博しました。 リバイバルされた様式も”クイーンアン様式”といいますが、オリジナルとリバイバルでは、デザインが全く異なります。
このシンメトリーデザインですが、リバイバルのクイーンアン様式は『非左右対称(アンシンメトリー)が特徴です。赤レンガの壁
クイーンアン様式では、赤レンガを壁にした建築物が多く見られます。
オランダから伝わった”イギリス積み”といわれるレンガの積み方は、レンガの長手(長い面)だけの段、小口(短い面)だけの段を交互に積み上げる積み方です。
イギリス積みは、高い強度を生み出すことができ、なおかつ経済的でもあることが特徴です。三角形のペディメント
クイーンアン様式は、屋根の上にさらに小屋根を設ける「ペディメント」がデザインされいるのも特徴です。
日本では、破風(はふ)と呼ばれるものです。白い窓枠
アン女王の時代には、高さのある窓が流行りました。
そして、窓の開口部の周りに白い石材等を置くことで、開口部を強調して表現するデザインが多く誕生しました。クイーンアン様式 家具の特徴
アン女王の統治下、イングランドとスコットランドが合併しグレートブリテン王国となったことで、イギリスの国家的発展がみられました。
それにより、中流の階級の人々の生活水準が上がり、快適さと優雅さを兼ねそろえた中級家具が発展しました。椅子のデザイン
クイーンアン様式の椅子は、座る人の体に合わせて、全体が流れるような曲線のデザインが特徴です。
背もたれのラインが細くなり、背もたれの垂直の支柱に対する横木は、中間部に入れるのではなく、上にのせるようになりました。
↑上の画像のような花瓶形の背板を一枚いれたデザインは、クイーンアン様式の代表的なスタイルで、その後のジョージアン様式まで広く使われています。脚のデザインは、クイーンアン様式の代表的デザインともいえる「猫脚:カブリオール・レッグ」が使われれるようになったことです。
カブリオールとは、フランス語のダンス専門用語で、はずむ、飛び跳ねるなどの意味があります。
曲線の脚部の先端が、動物の脚になっています。
また、椅子の本体が強度に作られるようになったため、脚と脚ををつなぐ”貫”がなくなりました。クイーンアン様式では、帆立貝の模様の彫刻デザインが流行りました。
帆立貝の模様が施された彫刻は、座幕板や脚の膝の部分などに使われました。ウィングチェアの誕生
クイーンアン様式では、先のウィリアム&メアリー様式で誕生したアプフォレスタリー・チェアから発展した『ウィングチェア』と呼ばれる椅子が作られるようになりました。
ウィングチェアは、背もたれ上部の両側が、羽(wing)のように前方へ突き出していて、暖炉の直火熱や外部の風から、座る人の頭をカバーするように作られています。キャビネットのデザイン
クイーンアン様式では、建築物の窓の高さが高くなったことにあわせて、背の高い家具も作られました。
そして、キャビネットやカップボードのトップには、ペディメント型のデザインが生まれました。↑上のデザインは、アンブロークンペディメントと呼ばれ、破れていない破風、櫛型破風ともいわれているデザインです。
↑上のデザインは、ボールドフーディット・ペディメントと呼ばれ、連ねたドーム型デザインのペディメントです。
↑上のデザインは、ブロークン・ペディメントと呼ばれた、ペディメントのトップが途切れたデザインです。
ケントストアが取り扱うクイーンアン様式の英国アンティーク家具
エクステンションテーブル
1930年代に製造された英国アンティーク クイーンアン様式の伸長式エクステンションテーブルです。
羊のヒヅメでしょうか、かわいい脚先のカブリオールレッグです。
脚の根元のデザインも螺旋状にくるんとした羊の角のようで、とても愛らしい雰囲気のあるテーブルです。チェア6脚セット
1930年代に製造された英国アンティークのダイニングチェア6脚セットです。
脚部は、猫脚(カブリオールレッグ)に帆立貝の模様の彫刻デザインが施された、クイーンアン様式を象徴するチェアです。
華麗なデザインに合わせ、赤いモケットの布地に張り替えています。カクテルキャビネット
1930年代に製造された英国アンティーク クイーンアンスタイルのカクテルキャビネットです。
背板には鏡が張られているので、バーカウンターの雰囲気を醸し出してくれます。
美しいウォルナットの木目に癒されながら、上質な時間をお過ごしいただけます。【徹底解説】ウィリアム&メアリー様式 建築物と家具の特徴
1688年の名誉革命により、王として迎えられたオランダ総督のウィリアム3世と妻のメアリー2世。
イギリス王室の歴史の中でも、最初で最後といわれている夫婦での共同統治を行いました。
ウィリアム3世とメアリー2世の統治下におけるデザイン様式を『ウィリアム・アンド・メアリー様式』といいます。 『ウィリアム・アンド・メアリー様式』の建築物と家具のデザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。【徹底解説】ジャコビアン様式 建築物と家具の特徴
1603年、イギリスでは、チューダー朝の最後の女王である”エリザベス1世”の死後、傍系のスコットランド王ジェームズ6世が”ジェームズ1世”として即位しました。
イングランドにおけるステュアート朝の始まりです。
ジェームズ1世が即位した1603年から、ピューリタン革命(清教徒革命)で権力を握ったクロムウェルの時代(1658年)までを『前期ジャコビアン様式』、チャールズ2世の統治下におかれた時代(1660年-1685年)の様式を『後期ジャコビアン様式』といいます。
『ジャコビアン様式』の建築物と家具のデザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。商品に関すること等、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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