【徹底解説】英国貴族はなぜキュウリのサンドイッチを好んだのか?
本格的な英国式アフターヌーンティーによく登場する、キュウリのサンドイッチ。その名も『キューカンバーサンドイッチ』キューカンバーサンドイッチは、スライスしたきゅう・・・
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本格的な英国式アフターヌーンティーによく登場する、キュウリのサンドイッチ。
その名も『キューカンバーサンドイッチ』
キューカンバーサンドイッチは、スライスしたきゅうりをパンに挟む、非常にシンプルなサンドイッチです。日本のサンドイッチで具材がキュウリだけというのは、あまり見かけませんね。
ハムとキュウリ、トマトとレタスとキュウリなど、キュウリはどちらかというと脇役的な存在です。では、なぜイギリスではキュウリが主役の『キューカンバーサンドイッチ』があるのでしょう。
ここでは『キュウリ』について、イギリスの貴族が愛した『キューカンバーサンドイッチ』について、そして 超簡単!『キューカンバーサンドイッチ』のレシピをご紹介します。キュウリの発祥とその歴史
キュウリの発祥は、ネパールとブータンの間に位置する、ヒマラヤ南麓地帯”シッキム地方”(Sikkim)が原産といわれています。
インドでは3000年以上前には栽培されており、西アジアでも紀元前にはキュウリの栽培が定着していた、と考えられています。日本では、奈良時代に中国南部の品種”華南型”のキュウリが伝わった後、明治時代になってから、低温に強い!中国北部の品種”華北型”のキュウリが、栽培用と交配用と併せて伝わったことで、国内でのキュウリの栽培が盛んになりました。
1950年代に入ると、塩化ビニールの開発により、ビニールハウスが登場します。
ビニールハウスでのキュウリの栽培は、気候や災害などの天候の影響を受けにくく、一年を通じて安定した生産ができるため、キュウリ市場はビニールハウスの導入後、急速に広がりました。現在、日本のキュウリの生産量は年間539,200(t)。世界10位の生産量です。宮崎県、群馬県、埼玉県などで多く栽培されています。
イギリスは、年間58,410(t)で、世界46位です。
ちなみに、世界1位は中国で、年間72,833,027(t)を生産しています。
桁違いの数字です!
それもそう、中国のキュウリ生産量は、世界全体の生産量の80%を占めています。キュウリにだって栄養はある!
きゅうりは『世界でいちばん栄養が少ない野菜』と言われています。
そのように言われるようになったきっかけは、きゅうりが『Least calorific fruit 』最もカロリーが低い果実として、ギネス世界記録に登録されたからです。
カロリーが低い=栄養がない、と誤解され広まってしまったようです。
確かに、きゅうりは可食部100gあたり14キロカロリーと低カロリーですが、カリウム、ビタミンK、ビタミンC、食物繊維もしっかりあるため、消化を助けたり、血圧を下げたり・・・と、人間にとって必要な働きをしてくれているのです。イギリスの貴族はどうしてキュウリに憧れた?
キュウリの生育適温は18~28℃で、冷涼な気候を好みますが、霜には弱いため、10~12℃以下では生育することができません。
そのため、イギリスの気候では栽培しにくいものでした。
さらに、産業革命以降、工業化が進むにつれて農地も減少したことによって、さらにキュウリは貴重な食べ物となっていったのです。19世紀 ヴィクトリア朝時代に習慣化されたアフタヌーンティーは、貴族の社交場として発展していました。
そのような中で、新鮮なキュウリを使ったサンドイッチを提供するということは、貴族が招待客に対して、自分は「キュウリを栽培するための広大な土地を所有している」、加えて「温室も持っている」、「キュウリを上手に栽培することができる使用人がいる」、と自身の財力を誇示することができたのです。
つまり、高級食材キュウリを使った『キューカンバーサンドイッチ』は、貴族にとって自分のステイタスを見せつけることができる、最高のメニューだったのです。キューカンバーサンドイッチが登場『真面目が肝心』
『才気溢れる世紀末のダンディ』と呼ばれたアイルランド出身の作家 オスカー・ワイルド(Oscar Fingal O’Flahertie Wills Wilde:1854年-1900年)。
オスカー・ワイルドの名言「楽観主義者はドーナツを見て、悲観主義者はその穴を見る」は有名ですね。オスカー・ワイルドの作品『真面目が肝心 (The Importance of Being Earnest)』は、ヴィクトリア朝のイギリスを背景に、ユーモアな登場人物たちによる非常識な倫理観から生まれる矛盾が繰り返される喜劇です。
『真面目が肝心』は、映画、ミュージカル、オペラなど、さまざまな形で上演されています。
その中で、キューカンバーサンドイッチをめぐって、やりとりするシーンがあります。
映画『アーネスト式プロポーズ 』で、そのシーンを見てみましょう!映画『アーネスト式プロポーズ The Importance of Being Earnest』
“真面目が肝心”が原作となった映画は、1952年版と2002年版『アーネスト式プロポーズ』があります。
2002年版『アーネスト式プロポーズ』は、イギリスの映画監督オリバー・パーカー(Oliver Parker)が製作しました。
『英国王のスピーチ』でイギリス王ジョージ6世役を演じた コリン・ファース(Colin Andrew Firth)、『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』で、アカデミー主演女優賞を獲得したリース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)、『007』や『恋におちたシェイクスピア』で有名なイギリスを代表する女優ジュディ・デンチ(Judi Dench)といったアカデミー俳優陣による豪華競演の作品です。映画『アーネスト式プロポーズ』でのキューカンバーサンドイッチを巡ってのやりとりはこのような感じです。
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裕福なロンドンの青年 アルジャーノンの邸宅に、叔母であるキューカンバーサンドイッチが大好きなブラックネル卿夫人がやってくることになります。
アルジャーノンは、叔母のために、アフタヌーンティーにキューカンバーサンドイッチを用意していたのですが、、、
ついつい、つまみ食いをしてしまいます。
それにつられて、友人アーネストがキューカンバーサンドイッチに手を出そうとするも、♠アルジャーノン「きゅうりには手を出すな。これは叔母様用の特注だ!」
♣アーネスト「君は食べているではないか。」
♠アルジャーノン「僕の叔母だからいいのさ」
といいながら、キューカンバーサンドイッチを全部食べてしまいました。
そこに、叔母のブラックネル卿夫人が来ました。
♦ブラックネル卿夫人「お茶とキュウリのサンドイッチはあるかしら?」
♠アルジャーノン「もちろんです。」
アルジャーノンは、執事のレインに対して♠アルジャーノン「キュウリのサンドイッチは?」
執事のレインはアルジャーノンと口裏を合わせるように
◊執事のレイン「二度、市場に行きましたが、ございませんでした。」
♠アルジャーノン「キュウリが?」
◊執事のレイン「現金払いもだめで、、」
♠アルジャーノン「ご苦労であった。」
アルジャーノンは叔母様に対し
♠アルジャーノン「現金払いでも買えなかったそうです。」
・・・と。
このようなやりとりから、ヴィクトリア朝時代、いかにキュウリのサンドイッチが貴重なものだったのかが分かります。
とても面白い映画ですので、ご興味のある方は、ぜひご覧になってください。宝塚歌劇ミュージカル Ernest in Love アーネストインラブ
“真面目が肝心”は宝塚歌劇でも『Ernest in Love アーネストインラブ』として月組、花組で上演されました。
2005年に上演された、月組の『Ernest in Love』は瀬奈じゅんさん・彩乃かなみさんが主演を務められています。
アルジャーノン役を演じられた霧矢大夢さんは、本当に舞台上でキューカンバーサンドを召し上がっていたそうです。
2016年には、花組(主演:明日海 りおさん、花乃 まりあさん)でも上演されています。英国式 キューカンバーサンドイッチのレシピ(作り方)
【材料】
・10枚~12枚切り食パン 2枚
・きゅうり 1/2本
・ビネガー 60cc
・サワークリーム 大さじ1
・ディル 適量
・塩 適量
・胡椒 適量【作り方】
①パットに、白ワインビネガー、塩、胡椒を入れ、混ぜます。
②薄くスライスしたキュウリをパットにいれます。
③その上にディルを散らします。
④15分間、漬けます。
注意)漬けこむ時間が長すぎると、白ワインビネガーの味が強く出すぎてしまうので要注意です。⑤パットから取り出したキュウリは、キッチンペーパーで水分をとります。
⑥食パン1枚にバターを塗ります。
⑦⑥の上からキュウリを重ねるようにして並べていきます。
⑧もう一枚のパンにサワークリームを塗ります。
⑨2枚の食パンを合わせ、パンの耳を切り落とし、3等分に切ります。
完成です!
キュウリが主役!のサンドイッチ。
キュウリのシャキシャキ感、ほろ酸っぱいビネガー、さわやかなディルの香り、そしてそれらをまとめてくれるサワークリーム。
すべてが一体となりとても美味しくいただきました。
断面もとても美しいので、味はもちろんのこと、見た目にもきっとご満足いただけると思います。
とても簡単なので、ぜひお試しください♡英国式スコーンの作り方のご案内
アフタヌーンティーに使われる3段ティースタンド、通称 スリーティアーズ(3Tiers)。
最下段に盛り付けるのはサンドイッチ。
その上の中段に盛り付けるのは、スコーンです。イギリスの食文化とライフスタイルをご紹介するケントデリでは、英国の伝統的なスコーンを基に、日本人の好みに合わせた「外はカリサク、中はふわっふわ」の究極ともいえるスコーンを開発しました。
ブレックファーストからティータイム、ハイティーまで、1日に何度でも何個でも食べたくなる、シンプルで飽きのこない美味しさになっています。究極のスコーンの作り方はこちら↓
さらに、ケントデリが開発した究極のスコーンをアレンジした「ピーカンナッツ&チョコチップスコーン」はこちら↓
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